Columnコラム

「心臓リハビリテーション」と「メディカルフィットネス」

日本メディカルフィットネス研究会 委員
八王子みなみ野心臓リハビリテーションクリニック 院⻑

二階堂 暁

このコラムをご覧の皆さん、「心臓リハビリテーション」という言葉、ご存じでしょうか?

「心臓リハビリテーション」とは、心臓や血管に何らかの病気を抱えられた患者さんが、病院での入院・治療を終えて退院した後の、体力を回復し自信を取り戻し、快適な家庭生活や社会生活に復帰するとともに、病気の再発や再入院を防止することを目的とした包括的活動・教育介入プログラムのことを指します。
この「心臓リハビリテーション」において、食事や運動・日常生活全般を見直し、実践することはとても重要な取り組みとして位置づけられており、特に運動面については、理学療法士や健康運動指導士などの運動専門職が強力にサポート・支援する体制になっています。
心臓病を一回患った方にとってはとても有益な施設なのですが、残念ながら日本での知名度はまだまだ低く、特に外来ベースで「心臓リハビリテーション」を行っている医療施設は数少ないのが現状です。
また保険診療の範疇での活動であるため、介入可能期間には原則150日間という時間的な制約があり、永続的に介入継続できるものではないのが現実です。
一方で、人々の健康増進のための営み・取組みは、ずっと続くものです。一度健康を害した人でも、その後病状の治癒・回復だけでなく、身体的・精神的・社会的に良好な状態を取り戻し、生き生きと輝いた、充実した人生を送れるような社会の仕組み・サポート体制を整えていくことは、今後の我が国におけるヘルスケア・ウェルネス施策の根幹となっています。

「心臓リハビリテーション」の普及は日本循環器学会・日本心臓リハビリテーション学会などが総力を挙げて現在取り組み中であり、私もその活動の中に身を置いています。
と同時に、保険診療対応期間終了後の受け皿の用意・体制の確立も同じく喫緊の課題であり、その有力な候補として「メディカルフィットネス」があると私は考えています。

「メディカルフィットネス」と「心臓リハビリテーション」は、ともに運動・身体的活動を軸とし、それに関わる様々な分野を包括的に取り纏め、会員さん・患者さんの健康増進・ウェルビーイングに貢献していくなど、大変多くの共通点があり、親和性が高いものです。
もう少し踏み込んで言えば、「メディカルフィットネス」とは、単に医療施設と連携しているフィットネスのことを指すのではなく、会員さんのウェルビーイングな活動を適切にサポート・支援することが出来る施設、そのための良好なパートナーシップ・相互理解関係を医療機関・医療従事者と構築できている施設であるべき、と考えます。

日本メディカルフィットネス研究会から私に与えられたMissionはこの点にあると思い定め、「心臓リハビリテーション」で培った経験・ノウハウを最大限に活かし、地域の様々な健康増進施設・運動施設・フィットネス・介護系施設などにおける医療との良好な連携を促進すること、そしてその現場で働くスタッフの医療的な知識の啓もう・スキルアップにつながるような活動を強力に推し進めてまいる所存です。

この辺りについて何かお力になれるようなことがあればうれしい限りです。
その際はJMFS事務局までどうぞお気軽にお問い合わせください!

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